【書評】エンジニアが学ぶ生産管理システム|工場の業務がイメージできるようになった一冊
はじめに
こんにちは、たけとりと申します。
私は普段、Webエンジニアとして業務システムの開発に携わっています。
そんな中で、「業務を知らないと、要件定義も設計も本当には理解できない…」と痛感する場面が増えてきました。
特に製造業向けのシステムでは、生産計画・原価・在庫・工程といった要素が複雑に絡み合い、プログラムが書けるだけでは全体像が見えません。
そんな中で読んだのが『エンジニアが学ぶ生産管理システムの「知識」と「技術」』です。
本書は、製造業の生産管理を「業務」と「システム」の両面から整理し直してくれる一冊でした。
『エンジニアが学ぶ生産管理システムの「知識」と「技術」』ってどんな本?
本書の特徴
ステップ① 生産マネジメント
本書の大きな特徴は、生産管理を「2つの機能」に分けて整理している点です。
- 生産計画・調達計画
- 製造指図・購買指図
- 原価計算
- ERP / MRP / BOM などが中心
→ヒト・モノ・カネをどう準備し、将来の変動にどう備えるかというマネジメント視点の話
ステップ② 製造・工程管理
- 製造指示
- 実績管理
- 進捗管理
- MES / スケジューラ / WMS など
→現場で計画どおりに製造を進めるための統制の話
この切り分けが非常に分かりやすく、「ERPは何を担当し、MESは何を担当するのか」が自然と理解できました。
なお、本書は単体で読むよりも、生産管理・物流・在庫管理をまとめて理解することで業務全体のつながりが見えやすくなります。
書誌概要
| 書名 | エンジニアが学ぶ生産管理システムの「知識」と「技術」 |
| 著者 | 石川和幸 |
| 発行年 | 2021年 |
| 出版社 | 翔泳社 |
目次
- 第1章 製造業に大きな変革の波が押し寄せている
- 第2章 生産管理とは何か?
- 第3章 生産管理業務と関連システム(1)生産マネジメント
- 第4章 生産管理業務と関連システム(2)製造・工程管理
- 第5章 生産管理業務と関連システム(3)原価管理
- 第6章 KPI管理と可視化システム
- 第7章 生産管理におけるビジネスとテクノロジーの潮流
- 第8章 生産管理システムを導入する成功のステップ
おすすめポイント3選

✅ 要件定義で「顧客が何を考えているか」が分かるようになった
この本を読む前、要件定義の場で顧客が工場の話をしていても、正直あまりピンと来ていませんでした。
しかし本書を読んだあとからは、
- これは 生産マネジメント(計画・原価・調達) の話なのか
- それとも 製造・工程管理(現場の統制) の話なのか
という視点で話を聞けるようになりました。
その結果、以下の事をイメージしながら会議に参加できるようになったと感じています。
「顧客は、工場全体として何を最適化したいのか」
「どこに課題を感じているのか」
業務を完全に理解していなくても、話の“軸”が見えるようになる。
これはエンジニアにとって非常に大きな変化でした。
✅ 実務で「本に書いてあったやつだ」と気づける瞬間が増えた
特に印象に残ったのは 工程管理に関する部分です。
実務で顧客の話を聞いていると、
- 工程の切り方
- 製造指示の出し方
- 実績の取り方
といった話題が出てきます。
以前なら「そういうものなんだな」で終わっていた話が、本書を読んだあとでは、
「これは製造・工程管理の領域の話だな」
「MESで吸収すべき課題かもしれない」
と、システムの役割と結びつけて理解できるようになりました。
✅ 原価計算の章は「簿記2級レベルがほぼ必須」
第5章の原価計算は、かなり実務的で踏み込んだ内容です。
- 総合原価計算 / 個別原価計算
- 全部原価計算 / 直接原価計算
- 実際原価計算 / 標準原価計算
といった会計の話が、生産管理システムの文脈で説明されます。
正直に言うと、簿記を勉強していなかったら、ここはほぼ理解できなかったと思います。
私は現在 簿記2級を勉強中ですが、その知識があったからこそ、原価計算の章についていけました。
この本を通して、「生産管理システムに関わるなら簿記2級レベルの会計知識は必須」だと改めて感じました。
この本をおすすめできる人・できない人
✔ おすすめできる人
- 製造業向け業務システムに関わるエンジニア
- ERP / 生産管理 / 原価管理に苦手意識がある人
- 要件定義の会議で「業務が分からない」と感じている人
- 簿記や会計とシステムのつながりを理解したい人
✖ あまり向かない人
- 純粋にプログラミング技術だけを学びたい人
- Web サービス(BtoC)中心の開発をしている人
- 生産管理や製造業に全く関わらない予定の人
まとめ:工場の姿がイメージできるように!
本書を読んで一番変わったのは、要件定義での「話の聞き方」でした。
顧客の話を、以下の2つに分解して捉えられるようになり、「顧客が目指している工場の姿」をイメージできるようになったと感じています。
- 生産マネジメントの視点
- 製造・工程管理の視点
また、以下のテーマを通して、生産管理とはITだけで完結しない“経営寄りの領域”であることも強く実感しました。
- 原価計算
- キャッシュフロー
- 会計とシステムの関係
製造業向けシステムに関わるエンジニアであれば、設計やレビューを本格的に担当する前に読んでおきたい一冊です。
