【書評】エンジニアが学ぶ物流システム|倉庫・WMSの業務が理解できる入門書
はじめに
こんにちは、たけとりと申します。
私は普段、Webエンジニアとして業務システムの開発に携わっています。
そんな中で、「業務を知らないと、要件定義も設計も本当には理解できない…」と痛感する場面が増えてきました。
特に製造業向けのシステムでは、生産計画・原価・在庫・工程といった要素が複雑に絡み合い、プログラムが書けるだけでは全体像が見えません。
そんな中で私が読んだのが『エンジニアが学ぶ物流システムの「知識」と「技術」 第2版』です。
物流システムとは、以下のようにモノの流れを正確に・安定して回すための仕組みのことです。
- 入庫
- 保管
- 出庫
- 出荷・配送
本書は、物流を「現場の作業」ではなく企業活動を支える業務プロセスとシステムとして理解させてくれる一冊でした。
『エンジニアが学ぶ物流システムの「知識」と「技術」 第2版』ってどんな本?
本書の特徴
本書では、物流を次の観点から整理しています。
- 物流が企業競争力に与える影響
- 物流業務の全体像(計画・実行・指標管理)
- 倉庫管理業務と輸配送管理業務の違い
- WMS(倉庫管理システム)・TMS(輸配送管理システム)の役割
- トレーサビリティ、在庫引当、棚卸の考え方
- DC/TC/クロスドックなど物流の最新トレンド
単なる機能説明ではなく、「なぜこの業務が必要なのか」「なぜこの制約があるのか」が丁寧に書かれています。
なお、本書は単体で読むよりも、生産管理・物流・在庫管理をまとめて理解することで業務全体のつながりが見えやすくなります。
書誌概要
| 書名 | エンジニアが学ぶ物流システムの「知識」と「技術」 第2版 |
| 著者 | 石川和幸 |
| 発行年 | 2021年 |
| 出版社 | 翔泳社 |
| ページ数 | 304ページ |
目次
- 第1章 物流に大きな変革の波が押し寄せている
- 第2章 物流とは何か?
- 第3章 物流業務を機能で読み解く
- 第4章 倉庫管理業務と倉庫管理システム
- 第5章 輸配送と輸配送管理システム
- 第6章 発注管理とERP
- 第7章 トレーサビリティとトラッキング
- 第8章 サプライチェーン・マネジメント
- 第9章 WMSの機能と導入時の留意点
- 第10章 TMSの機能と導入時の留意点
- 第11章 物流における新たな潮流とビジネス・テクノロジー
おすすめポイント3選

✅ 物流業務を“操作”ではなく“現場の流れ”として理解できる
私が参加する要件定義の会議では、製造業の顧客から以下のような用語がよく出てきます。
- ロケーション
- 在庫引当
- 出庫/出荷
読書前は「言葉は知っている」「業務フロー図では見たことがある」という状態でした。
しかし本書を読んだことで、
システム上ではボタンひとつの操作でも、
倉庫では人が動き、モノが移動し、ミスが許されない作業が行われている
ということを、具体的にイメージできるようになりました。
WMSの「入庫」「出庫」という画面操作の裏に、検品・ロケーション管理・ピッキングといった現場作業があることが腑に落ちます。
✅ 在庫引当・ロケーション管理が“なぜ重要か”が分かる
本書では、以下のテーマが繰り返し出てきます。
- 総量引当と実引当の違い
- ロット逆転防止
- 在庫ステータス管理
これらはすべて、
- 誤出荷を防ぐ
- 欠品を防ぐ
- 在庫差異を防ぐ
ための仕組みです。
「引当は単なる在庫計算ではなく、業務統制そのもの」という視点が得られたのは大きな収穫でした。
✅ 「物流は現場の世界」という認識が変わった
読む前は、物流を「現場寄りの世界」「ITでできることは限定的」と捉えていました。
しかし本書を通して、以下のような物流の取り組みが、顧客満足度や企業競争力に直結していることが理解できました。
- 多頻度納入
- 共同配送
- 帰り便の活用
- クロスドック
物流の在り方次第で、以下の結果につながります。
- 欠品が減る
- 納期が安定する
- コストが下がる
そしてこれは、どれも企業全体の評価が変わるレベルの大きな影響を及ぼします。
システムは、その基盤を支えている存在なのだと認識が変わりました。
この本をおすすめできる人・できない人
✔ おすすめできる人
- WMS/TMS/基幹システム連携に関わるエンジニア
- 物流・在庫・出荷まわりの要件定義に参加している人
- 生産管理を学んだあと、業務の“次の流れ”を理解したい人
✖ あまり向かない人
- Webサービスのみで、業務系に関わらない人
- 実装テクニックだけを知りたい人
まとめ:物流システムは「モノを正しく動かすための統制」
物流システムは、計画されたものを、現実世界で確実に動かすための仕組みです。
- 生産管理が「計画・意思決定」
- 物流が「実行・統制」
という役割分担が、この本を通して明確になりました。
物流を「現場任せ」にせず、業務として、システムとして捉え直したいエンジニアにとって、非常に学びの多い一冊だと思います。

