はじめに
こんにちは、たけとりと申します。
私は2025年から自社開発企業で働いている駆け出しのエンジニアです。
本記事では、世界中で1000万人以上が読んだビジネス小説 『ザ・ゴール』 をご紹介します。
この本は、工場の業務改善をテーマにしつつ、制約条件の理論(TOC:Theory of Constraints) を物語形式で学べる一冊です。
システム開発に携わる者として、生産管理や業務改善を勉強できたらと思い本書を手に取ったのですが、「名著」とされることにもうなずけました。
この記事では、あらすじ・要点・読者層・感想をコンパクトにまとめておりますので、お役に立てばうれしいです。
『ザ・ゴール』ってどんな本?
本書は、イスラエルの物理学者エリヤフ・ゴールドラットが著したビジネス小説です。
ビジネス「小説」という通り、製造業の生産管理に革命を起こした TOC(制約条件の理論) をストーリー仕立てで解説した作品です。
公式サイトによれば、国内でシリーズ累計125万部突破、全世界では1000万人が読んだ伝説の名著と言われています!
https://promo.diamond.jp/books/the-goal
書誌概要
書名 | ザ・ゴール |
著者 | エリヤフ・ゴールドラット |
発行年 | 2001年 |
出版社 | ダイヤモンド社 |
ページ数 | 560ページ |
あらすじ
主人公アレックス・ロゴは、ある機械メーカーの工場長。
業績悪化を理由に本社から工場閉鎖の通告を受けます。残された時間は3か月。
追い詰められた彼は、学生時代の恩師ジョナと再会。
ジョナの助言を受けながら、工場のボトルネックを特定し、常識を覆す方法で生産性を改善していきます。
本書の4つのポイント
本書では、恩師・ジョナから主人公・アレックスに向けて、業務プロセス改善のためにいくつかの問いが出され、アレックスが周囲の人々の協力を得ながら見つけ出していくという構造になっています。
この章では、本書のエッセンスとなる4つの教えを要約してまとめます。
生産性とは何か?
「生産的である」とは何でしょうか。いざ問われると、サッと答えられない方もいるのではないでしょうか。
「生産的である」とは、「目標に向かって何かを達成すること」と本書では定義されています。
つまり、「目標とは何か」を正しく理解していなければ、生産的であるかどうかを測ることはできないのです。
企業の目標とは何か?
企業の目標とは何でしょう。効率的に製品を作ること?品質の高い製品を作ること?
本書では、「現在から将来にかけて金を儲け続けること」と定義されています。
言ってみれば非常に単純な定義ですが、これは営業部門のみならず、製造部門や他のすべての部門においても、共通して認識すべき企業の目標だといえます。
目標を達成するために必要なこととは?
それでは、目標を達成するにはどうすればいいのでしょうか。
本書ではまず、3つの指標が提示されています。
- スループット … 販売を通じてお金を儲ける割合
- 在庫 … 商品を製造するために投資したお金
- 業務費用 … 在庫をスループットにするために消費したお金
つまり、この指標を用いれば、企業がお金を儲けるには、以下のシンプルな3つの方法しかないことになります。
- スループットを増やす
- 在庫を減らす
- 経費を減らす
TOC(制約条件の理論)の考え方では、このうちスループットを増やすことが最も重要なこととされます。
スループットを増やすには?
それでは、スループットを増やすにはどうすればいいのでしょうか?
本書では、「ボトルネック」の活用が提示されています。
「ボトルネック」とは、その処理能力が与えられた仕事と同じか、それ以下のリソースのことです。
つまり、それによって業務の停滞や生産性の低下を招いている箇所を指します。
工場では、製品が出来るまでに多くの工程を通っていきますが、そのどこかに必ずボトルネックがあります。
そして、工場全体の生産量はボトルネックの生産量で決まってしまうのです。
つまり、全体の業務改善を行うには、以下の2つの原理を理解する必要があります。
- ボトルネックとなる工程の無駄を減らす、負荷を減らすなどして、改善する。
- ボトルネック以外の工程では、ボトルネックより速くモノを作ってはいけない。
非常にシンプルな原理に思えますが、ボトルネックとなる箇所にフォーカスすることで、最小限の努力で最大の効果を出すことができるのです!
読むべき人・おすすめできない人
読むべき人
- 工場の生産管理を学びたい人
- TOC理論を体系的に理解したい人
- 有名ビジネス書を一度は読みたい人
おすすめできない人
- 長い小説が苦手な人
- 要点だけを理解したい人
ビジネス小説という仕立て上、解説ページを抜きにしても520ページ程度の文量があります。
長めの本が苦手な方や、要点だけを知りたい方には冗長に感じられるかもしれません。
そんな方には、コミック版にチャレンジしてみることをおすすめします!
まとめ:製造業以外にも役立つ名著!
『ザ・ゴール』は、単なる工場改善の物語ではありません。
「何がボトルネックか?」「本当の目標は何か?」という問いは、製造業だけでなくどんな分野のプロジェクト管理においても応用可能です。
特に印象的なのは、「改善すべきは全体の最適化であり、部分最適化ではない」という考え方。
これは現代のビジネスでも通用する普遍的な原理だと思います。
- プロセス改善の本質を学びたい人
- 生産性の定義を根本から考えたい人
- ストーリー形式で学習したい人
そんな方に強くおすすめできる名著です。